経営のヒント 00041
【先例がないのはピンチかチャンスか】
以下は、親しくさせていただいている船井総研のコンサルタント三浦康志さんから教えていただいたお話ですが、読んで思わず唸ってしまいましたので、三浦さんのご了解を得て、紹介させていただきます。それにしても、昔は総合商社の中でも利益は最下位争いをしていた伊藤忠商事が、現在、岡藤社長の下、業績のトップ争いをしているのもうなずける話です。
世界の食糧危機を救うことをミッションに掲げる、ユーグレナという会社があります。大学発のベンチャー企業です。栄養成分豊富なミドリムシを原料にしたサプリを製造販売しています。世界のどこにもない発想と商品、そしてミドリムシという名前のため、当初は誰も取引してくれず苦労されたそうです。興味は示されるのですが、最後に他社の事例を求められたそうです。まだ事例はないと応えると、事例をつくってから出直してくれと断られたそうです。
お役所が「先例がない」と新しいチャレンジを受け入れてくれないとよくいわれますが、民間企業でも同じなのです。500社訪問してすべてこのように断られたそうです。あきらめかけて訪問した501社目でも「先例はありますか?」と質問されたそうです。しかしその後の続く言葉が今までとは違ったそうです。 「先例がないのはチャンスですね。取り引きしましょう。」 この会社は伊藤忠商事です。伊藤忠商事との取引事例が周りに伝わるとその信用から、様々な企業が取引を申し出、株主として参加してきました。
ユーグレナは、今では上場も果たし、株式時価総額が1000億円の企業に成長しています。 先例がないことはピンチともチャンスとも捉えられます。同じ現象を観るのに真反対の観方があることはとても興味深いことです。